肝臓内科について
肝臓は、同時に多様な役割を担う臓器です。その役割には、タンパク質やコレステロールの合成、栄養素の貯蔵、薬物や有害物質の分解と解毒、脂肪の吸収に必要な胆汁の合成と分泌などがあります。
健康な肝臓は再生能力が高く、予備能力も十分にあるため、ほとんどの肝臓の病気は無症状であり、異常が初めて発見されるのは健康診断や人間ドックということがよくあります。このため、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。肝機能が急速に低下し、再生が追いつかなくなったり、慢性肝障害が進行して肝臓の予備能力が低下したりすると、食欲不振、全身倦怠感、腹水（腹部のむくみ）、黄疸（体が痒くなり、尿が黒っぽくなる）、食道や胃の静脈瘤、こむら返り、手の震え、不眠、会話障害などの症状が現れることがあります。
また、肝臓に障害が蓄積される（線維化）ことで、がんのリスクも高まります。肝臓の病気にかかった方は、症状が出る前から定期的に肝機能をチェックし、適切な治療を受けることで病気の進行を予防することが大切です。
肝臓の病気は通常、肝機能異常から慢性肝炎、そして肝硬変へと徐々に進行していきます。健康診断で肝機能異常を指摘された方は、自覚症状がなくても放置せずに、当院へお気軽にご相談ください。
このような症状がありましたらご相談ください
- 健康診断で肝機能（AST/ALT/γ-GTPなど）が基準値を越えていると診断された
- 血小板数が少ない
- 夜にたくさんお酒を飲む
- 急に太った、または肥満である
- 脂質異常症など、複数の生活習慣病を抱えている
- 献血や健康診断で肝炎ウイルスに感染していることが判明した
- 肝炎の家族歴がある
- 食欲が低下し、疲れやすくなった
- 皮膚や白目が黄色いと指摘された
- 皮膚に痒みがある
- 尿の色が濃い、あるいは便の色が薄い
- 腹部がぽっこりと膨らみ、手足が細くなってきた
よくある疾患
- ウイルス肝炎（A型、B型、C型、D型、E型）
- アルコール性肝障害/ 非アルコール性肝障害
- NAFLD（脂肪肝、脂肪性肝炎）
- 自己免疫性肝疾患（AIH, PBC）
- 肝硬変
- 肝がん
- 肝嚢胞、肝血管腫
肝臓に良い食べ物・飲み物
健康な肝臓は、良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルを摂取することで維持できます。
- 豆腐
- 納豆
- 枝豆
- にんにく
- 玉ねぎ
- ほうれん草
- かぼちゃ
- 梅干し
- 海藻
- しじみ
- カキ
肝臓に良くない食べ物・飲み物
- アルコール飲料
- 揚げ物
- インスタント
ラーメン - 砂糖入りの缶
コーヒー - エナジードリンク
- ジュース
AST/ALT/γ-GTPなどの異常値は肝臓外来へ
超音波検査を用いることで、肝臓の脂肪量を調べることができ、適切な診断と治療が可能になります。
最新の超音波診断装置を常備している当院では肝臓の脂肪量を評価することができます。
2020年に診療ガイドラインが改訂され、肝細胞の5％以上が脂肪化している状態が脂肪肝であると定義されました。つまり、5％では軽度の脂肪肝とみなされるため、従来の技術では判定がかなり難しい状態でした。
当院の超音波診断装置に搭載のATI（Attenuation Imaging）機能は、患者様の体内に照射した超音波パルスが生体組織内を伝わる際の減衰現象（吸収や拡散により徐々に減弱する現象）に着目し、正常肝細胞と脂肪肝細胞の減衰を測定し、脂肪肝を定量化します。また、脂肪肝の治療効果判定にも有用であると考えられています。
正確な診断のため、肝臓の一部を顕微鏡で観察・評価する必要がある場合は、当院がご紹介する提携施設にて対応します。